クラクション

普通の会社の普通の休憩室。

今日も普通の会社員、波野と只野が雑談しています。

 

波野人「お疲れ!!」

只野人「お疲れ様。」

 

波野人「今日さ~、納品でお客さんのとこに向かう途中見かけたんだけど。」

只野人「何を?」

 

波野人「やたらクラクション鳴らす人。」

只野人「そうなんだ。」

波野人「鳴らした人は直進ね!」

只野人「うん。」

波野人「で、対向車が右折するタイミング遅かったんだろうね。」

只野人「それで、クラクションか。」

波野人「そうそう!!それがさ、しつこいくらい鳴らすんだよね!!」

只野人「あ~、運転してるとたまにいるよね。」

波野人「でね、見てて思ったんだけど。あんだけクラクション鳴らせるってことは、普通に避けられるはずだよね?少しブレーキ踏んだらいいだけじゃないのかな?」

只野人「確かに。」

 

波野人「あれってさ、俺が進んでるのに何で前を横切るんじゃボケ!!っていう意思表示だよね。」

只野人「そうだね。もしくは、こういう奴にはこのくらいやらないと危ないってことが分からないから。みたいな感じかな?」

 

波野人「あおり運転ってさ、ああいうのから始まるのかな?」

只野人「クラクション鳴らされたとか?」

波野人「そうそう!!ちょっとしたことで腹を立てて始まるような気がするんだよね。」

只野人「それは確かに。あおり運転する人って、確かに血の気が多いんだろうけど、そもそもあおり運転してやろうと思って狙ってる人がいるかって言ったら、いても1%未満だと思う。」

波野人「だよね!!きっと何かきっかけがあるんじゃないかと思うんだよね。」

 

只野人「で、確かに正論だな~と、思うんだけどなんか君らしくないんだよね。何か後ろめたいことでもあるの?」

 

波野人「・・・・・・・・・・そう思います?」

只野人「クラクション鳴らしたの君?」

 

波野人「・・・・・・・・・・うん。」

只野人「で、後悔してるの?」

 

波野人「近づいたときに見えたんだけど、相手の車運転してるのが若い女の子だったんだよね・・・。しかも可愛かったんだよね・・・。」

 

只野人「大丈夫だよ。どうせ君とは何もないから。」

波野人「・・・・それはそうかもしれないけどさ~!!あんな可愛い子に怖い思いさせちゃったのかな?とか思うといたたまれなくなって!!」

 

只野人「若くて可愛い女の子じゃなければやっていいの?」

波野人「・・・・。」

只野人「これが、若くて可愛い女の子じゃなくて、ごつくて怖い洒落にならない人だったら今頃君は病院だったかもね。」

波野人「・・・それは嫌だなぁ。」

只野人「まぁ、何にしてもすぐに怒らない方がいいってことなんだろうね。」

波野人「うん。これからはあの子の顔を思い出して、こんなことしないようにしようと思う・・・。」

 

只野人「ちゃんと凹んでるね。」

波野人「本当に可愛かったんだもん。しかも、超目が合った。」

 

只野人「さっきも言ったけど、どのみち君とは何もないから安心していいよ。」

波野人「またそんなこと言う・・・。」

 

只野人「運転中は穏やかにしようってことで。」

波野人「はい。」

 

只野人「さて、仕事仕事。」